会社の会議は役割分担が必要の意味!

意義ある会議は "意図的" "わざと" 作り上げるモノ!

賛成役割担当・反対役割担当を決めておいて、中味の濃い意義ある会議にしよう!

 

 

全会一致はなぜ危ういのでしょうか

 

みんなの判断に引きずられる

組織は重要な方針を決定する際には、みんなで知恵を絞り、あらゆる角度から十分に検討する必要があります。

 

ところが、日本の組織の会議では全会一致を理想とするようなところがあるため、異論を唱えにくい雰囲気があります。

 

意見や質問が盛んに出て、すんなりと提案が通らないことを「会議が荒れた」などと言うこと自体、意見や質問はあまり出ないままに通ることが前提とされていることを示しています。

 

そのため、十分な検討が行われないままに愚策が通ったり、失敗が目に見えているアイデアが承認されたりといったことが起こります。

 

組織の不祥事の背景にあるのも、こうした全会一致を理想とする会議の雰囲気です。

 

そこに働いているのが、心理学者アッシュが実験によってその存在を実証した同調圧力です。

 

アッシュは、7人のサクラを用いた実験により、1人で行ったときには誤答率1%にもならない簡単な課題でも、サクラが相次いで誤答をすると、サクラの圧力に屈して誤答率が32%に跳ね上がることを証明しました。

 

他人の意向を気にし、気まずくなることを避けようとする日本文化の下では、このような同調圧力は非常に強いと考えられます。

 

全会一致は異論が許されない雰囲気があったことの証

 

このような無言の同調圧力の中、参加者の過半数が疑問に思っていた提案や、これは危ないのではと不安を抱いた提案が、「全会一致」で可決してしまう、といったことが起こります。

 

会議で誰も疑問を提起せず、反論もしなかったのに、会議が終わって部屋を出ると、

「まさか、あんな提案が通るとは思いませんでしたね…」

「ほんとに困りましたねぇ…」

などと歩きながら声をひそめて話す声が聞こえてくる。

 

あなたもそんな場面の経験があるのではないでしょうか。

 

ここからわかるのは、全会一致というのは極めて疑わしく、なんとも危うい決議方式だということです。

 

多様な人間が集まって本気で検討したのなら、異論が出ないわけがありません。

 

人によって視点が異なるのは当然のことで、全員の見解が一致するなどという事は、現実にはほとんどありません。

 

それにもかかわらず全会一致で決まったという事は、異論を出しにくい雰囲気に支配されていたということの証拠といえます。

 

疑問に思っても口に出しにくいムードにみんなが感染しているわけですから、誤った方向に踏み出してしまう危険があります。

 

これでは組織としてのリスクマネジメントが機能していないことになります。

 

デビル審理法

どうしたら本気モードの議論ができるのでしょうか?

 

1人でも同調圧力に屈しない人物がいるだけで抵抗しやすくなる

疑問点もしっかり議論して、あらゆる角度から検討することで、愚策が通るのを防ぐことができます。

 

では、同調圧力の影響を受けずにきちんとした議論をするには、どうしたらよいのでしょうか。

 

同調圧力について様々な実験的研究を行っているアッシュは、1人でも同調圧力に屈しない人物がいれば、本当の意見が出やすくなることを実証しています。

 

前項で紹介したものと同様の実験を行い、7人のサクラのうち6人が誤答しても、残りの1人が正しい答えを選ぶと、集団圧力に屈して誤答をする率は32%から5.5%とへと大きく低下することを発見しました。

 

ここから、味方が1人でもいれば、集団圧力に対する抵抗力が一気に高まることがわかります。

 

そうはいっても、日本の組織では、同調圧力に屈せずに率直に疑問を口にしたり反論したりする人物が出てくることは期待しにくいというのが実情です。

 

反対意見をわざと出させて空気を変える

そこで、提案に対して反対意見を述べる役割をあらかじめ特定の人物にあてがっておくことで同調圧力によるご判断を防ぐという方法が考えられます。

 

これが心理学者ワイズバンドが提唱するデビル審理法です。

 

反対意見を述べるデビル役を設定しておくという意味です。

 

それによって、提案に対して賛成意見しか出せないような空気は崩され、提案内容を多角的に検討することができるとともに、他の参加者も疑問点があれば率直に質問や意見を出しやすくするというものです。

 

ただし、日本の組織の会議では、意見が続出するということはあまりなく、沈黙が生じがちです。

 

そんな中で、いきなり反対意見だけ出るのも不自然であり、うっかりするとそれによって賛成しにくい空気がつくられてしまいます。

 

したがって、何らかの提案について本気で検討したいというときには、賛成意見を述べる人物と反対意見を述べる人物をあらかじめ用意しておくのがよいでしょう。

 

すぐに意見が出ないときには、両者が次々に口火を切るのです。

 

どんな提案であっても、そのメリットもあればデメリットもあるはずです。

 

賛成役割担当者は、そのメリットに付けて自分なりの意見を考えておき、反対意見担当者は、そのデメリットに焦点をつけて自分の意見を考えておきます。

 

それぞれが会議の場で意見表明をすることで、みんなが賛成の立場からも、疑問を感じる立場からも、率直に意見や質問を出しやすくなります。

 

このように予めを決めておくパターンで、結果的に多様な意見を拾い上げ、議題を煮詰めていきましょう!