重要な案件を決める、集団心理・個人心理を利用するテクニック!
・慎重な意見を聴きたい
・大胆な意見を聴きたい
・個人の意見、集団の意見いずれの意見・主張も聴いてみたい!
大事な会議の議題で集団心理・個人心理を利用した意義ある決定をするには!
集団凝集性
まとまりが良いことの弊害がわかりますか
結束力を高めるためにライバル意識させる
集団のまとまり、結束力のことを集団凝集性といいます。心理学者フォーサイスは、集団凝集性を高める要因として、
・魅力
・一体性
・チームワーク
の3つ挙げています。
魅力というのは、集団のもつ魅力のことですが、メンバー同士がお互いに感じる魅力と集団に留まろうという思いによって決まってきます。
一体性というのは、メンバーが感じる一体感のことですが、相互作用や価値観の共有によって生じる集団としてのまとまりや居場所感によって生じるものです。
チームワークというのは、目標に向かってまとまって行動していくことですが、目標に向かっていく意欲や自分たちは、【やればできる】という集団としての効力感によって支えられるものです。
集団凝集性が高いことは一般に良い事と考えられています。
実際、まとまりがよいことによって集団としても安定するし、メンバーも友好的な浸ることで安心や満足が得られ、居場所感が得られるなど、多くのメリットがあります。
集団凝集性を高める方法として、外的を設定するというやり方がよく用いられます。
例えば、競合するライバル社を意識させることによってメンバーの一致団結を促すというものです。
某国の政府が国民の不満の噴出を避けるために他国の脅威をアピールしたりするのも、そうした心理メカニズムを踏まえてのことといえます。
まとまりの強さが不祥事につながる
ただし、集団凝集性が高いことによる弊害も指摘されています。
例えば、内部で固まってしまい、新たなメンバーを受け入れにくいなど、集団が閉鎖的になりがちです。
また、まとまりが良いことで同調圧力が強まり、集団の決定に反対しにくい雰囲気になり、集団の規範から逸脱した行動に対して攻撃的な反応が出やすくなることもあります。
価値観の異なる人たちが異分子として排除されるような組織では、異論を出しにくいため、誤った判断がまかり通ってしまう危険があります。
一般には集団としてのまとまりがよい方が成果集団として機能しやすいと考えられますが、それも行き過ぎると成果から切り離されただの仲良し集団になってしまう可能性もあります。
このような弊害を防ぐには、意見の異なる人たちが堂々と意見を表明し、共存できるような組織風土を築いていく必要があります。
組織の暴走にブレーキをかけられるのは、主流派でない人たちです。
そのような人たちが遠慮なく意見を言えるようでないと、成果集団としての組織の衰退や企業不祥事を防ぐことができません。
リスキーシフト
みんなで話し合うと危険?
みんなで話し合うと、なぜかリスキーな判断に
みんなで話し合えば、個人で検討するよりも妥当な判断ができると思われがちですが、実は話し合いによる決議には意外な危うさがあります。
各自が1人で考えた場合、当然否決すべきと思われる提案が、みんなで話し合っているうちに、なぜか通ってしまうということが起こります。
このような現象をリスキーシフトといいます。
心理学者ワラックたちは、魅力的だがリスクのある選択肢と、リスクはないがあまり魅力的でない選択肢を用意し、どちらかを選択させる課題で、個別に判断させる場合と集団で話し合って判断させる場合を比較しました。
例えば、手術をすれば完全な健康を取り戻せるが、その手術はリスクを伴い、手術をしなければリスクはないが不便な生活を強いられるという場合、手術の成功確率がどのくらいあれば手術を選ぶか、というような課題です。
その結果、いずれの課題においても、集団で決めた場合の方が魅力的だけどリスクのある選択肢を選ぶ傾向があることが確認されました。
集団で話し合って決めると、なぜリスキーな判断になってしまうのでしょうか。
リスキーシフトの防止と活用
リスキーシフトが起こる理由としては、みんなで決めると気が大きくなるということと、責任の分散が起こるということがあると考えられます。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
というように、みんなと一緒だと気が大きくなり、大胆なことをしてしまいやすいというのは、誰もが経験しているはずです。
また、みんなで決めると、1人で決める場合と違って、自分だけの責任ではないため、各自の責任が薄れ、慎重さが失われるということもあるでしょう。
こうしてみると、みんなで話し合って決めることが必ずしも望ましいわけではないことがわかります。
では、会議などで話し合って決める場合、どのようなことに留意すべきでしょうか。
失敗は許されない重大な案件について慎重に検討したいというケースでは、各メンバーに前もって個別に考えておくように伝えるという手があります。
そのほうが、集団の場でいきなり考えるよりも、慎重な検討が行われることが期待できます。
前もって個別に考えながら思うことをメモさせ、これを事前に提出させるというやり方もあります。
リスキーシフトの心理を利用する手もあります。
例えば守りの姿勢を打破すべく、積極策を大胆に模索したいというようなケースでは、集団で話し合った方が責任の分散心理が働き、思い切った提案が出やすくなるというものです。
このように、
・個人レベルでの心理
・集団レベルでの心理
を上手に利用し、慎重な議論・大胆な議論を展開することを考え、応用してみてはいかがでしょうか?